補足テキスト

  物語中のテキストやメッセージ、簡単な用語解説など。

闇魔法とは

(作中冒頭、エルフェ大教会におけるリスティとの会話より)
 はるか昔、混沌から生み出された「闇魔法」は「翼無き者の反乱」の際、魔族によって人類(人間、獣人、エルフ)にもたらされた。その威力は神龍族の力をも越えていた。神龍族は闇魔法の闇の力に勝つために、白翼族と人類に闇魔法を封じる道具を渡した。その道具を用いて、闇魔法は地上の6つの場所に封印されたと伝えられている。
 だが、ひとつでも封印が解かれると闇魔法はその力を取り戻してしまう。もし全ての封印が解かれれば、この世界はすぐに滅びる。闇魔法とは全てを破壊する魔性の力を持つ禁呪なのである。

翼なき者の反乱

 古代、人間や獣人族といった人類の一部が、神龍族と白翼族から天界を乗っ取ろうとして起こした戦争。このとき魔族によって人類(人間、獣人、エルフ)にもたらされたのが「闇魔法」である。
 反乱を鎮めるため、神龍族は理性を持つ二振りの聖剣をあつらえて、神龍族の勇者「龍呈」らに託した。彼らは無事鎮圧に成功し、聖剣は闇魔法を封じるオーブを守護する役目に就き、別々の場所に封じられた。
 なお、龍呈は反乱を「平和的解決」に導いた功績を讃えられ、人類が最初に鋳造したコインの意匠となった。また彼の妻となった神龍族の少女は、戦乱時に人類を救ったことで神として人類の信仰を集めるようになった。これが後の女神教である。

 私見だが、神に反乱を企てるからには、人類はそれなりに文明を築いていたはずである。にも関わらず貨幣経済すら知らなかったというのは考えにくい。思うに神龍族が貨幣の鋳造、流通を独占しており、ある意味地上の支配者(または搾取階級)として君臨していたのではないだろうか。そう仮定した場合、神龍族が直接支配するのではなく、白翼族を通じ地上を間接的に支配していたと思われる。劇中に散見される白翼族の人類に対する根深い差別意識も、もとは人類が彼らにとっての被搾取階級であったと考えれば納得がいく。(軍師の剣を使っていた人物は白翼族ではなかったため(おそらく人類だったと思われる)、記録を意図的に抹消されたとも考えられる。白翼族にとって、自分たちの城が見下していた人類に守られていたという事実は、屈辱でもあり受け入れ難かったのだろう)
 一部の人類はそれを不満に思っており、魔族に唆され反乱を起こした。神龍族による地上支配に疑問を持っていた龍呈らは、反乱の原因は自分たちにもあるとして一族を説得、反乱鎮圧後に神龍族の知識や技術を地上に伝えた。神龍族は自らを省みて、白翼族に人類を守護する役目を与えた上で地上から身を引いた。だが白翼族は人類が高度な文明を築くのを快く思っていなかったので、自分たちの宗主である神龍族の影響がまったく及ばなくなったのに気付き、その役目を放棄した…と考えたのだが、どうだろう。

すごい力を持つ「石」の話

 ヴァンの城下のホテルロビーでくつろぐ老女は、以前町を訪れた若い吟遊詩人から「不思議な力を持っている石があり、その石を使ってこの世を救ったすごい勇者がいる」と聞いたらしい。おそらく本作の10年前という設定の前作「ドラゴン・ストーン」の物語を指しているものと思われる。

ヴァン王室をめぐる陰謀

 ヴァンの先王は亡くなる直前、後継者に第二王子セレエを指名した。セレエが即位すると同時に嫡男(第一王子)ヴァーシスは城を出奔し、行方がわからなくなっていた。
 実は先王を殺したのは現大臣である。彼は先王が亡くなる直前にヴァンに来た。また、ヴァーシスを出奔したと見せかけて死の火山に追放し、結界による封印を施した。そのためヴァーシスは死の火山から出られず、真実を伝えられずにいた。
 ニールは先王の時代からヴァン城に仕えていたが、大臣の企みを見抜くことができなかった。
 ヴァンの征服を試みた大臣は、物語が始まる数週間前にセレエの暗殺を謀っているが、彼の抵抗に遭い失敗している。そのため、苦肉の策としてオフィスに依頼を出したのだった。

 

古代獣人族

 ケルグ大陸の洞窟内の遺跡は、古代獣人族の神殿だった。彼らはどの人類よりも空への憧れが強く、それ故に翼を持つ種族「魔族」を信仰していた時期があった。自分たちを天界から追放した神龍族を恨み、彼らに唯一対抗できる力を持つ「魔族」を封印から解き放ち、神龍族に抵抗しようと試みたのだ。
 だが獣人族は元々魔力が弱かったため、魔族の封印を解くことができなかった。また、魔力の弱さは他人種からの差別を生み、次第に獣人族は魔力そのものを疎むようになった。
 その結果、魔族信仰はすたれていったのである。

エルフ族の死生観

 アレクによると、エルフ族は特定の宗教を持たないが独特の死生観があるという。
「人は死ぬと翼を持ち、その魂は天空へと還る」
 「翼無きものの反乱」で天界を追われた歴史が、伝承を元にした思想となったのかもしれない。

ラグウ王の選択

 クリスたちが洞窟から脱出していた頃、ケルグの城ではラグウ王がロマシア三魔士のひとり、ジェラとある契約を交していた。反対した皇太子ゼクトは部屋に監禁され、ジェラの手によって魔族ルイフィリアスが復活する。ルイフィリアスはファウストの親友だった。城の近くまで来たファウストは、懐かしくも忌まわしい気配を感じ取り眉を顰める。
 ニールはエストスの中にいる魔族の存在に最初から気付いていた。先ほどいた祭壇が魔族の封印の間のレプリカであり、魔族を封印している本物の祭壇がすぐ近くにあることも知っていた。彼はラグウを止めるためケルグの村に来たのであり、だからこそ解毒剤を入手したあともひとり城に残ったのだ。

聖剣チェグナス封印の間の石版

「もしも地上に不幸が降り注ごうというのなら 我らがその知恵をもって人類を救おう
 もしも禁呪の封印が解かれることあらば 我らの知恵と人類の勇気とをもって
 共に悪しき魔法を再び封じんことを 聖なる翼の名のもとに誓わん」

 これは過去に闇魔法を封じた際、白翼族が聖剣との間で交した誓約を書き記したもの。
 チェグナスによると、誓約はこれだけでなく、もし封印が危険になったらオーブを天界に持って行くことにもなっていたという。これをもとに、クリスたちはオーブを天界に持って行こうとメリクルらに提案することになる。

 

カ・マヤバB2Fで入手した手帳

○月×日 天候・曇り
この遺跡に挑んで早一年。だんだんとここの構造がわかってきた。
未知なる動物と戦うのは過酷ではあったが、
それでも私はトレジャー・ハンターだ。
伝説の宝がある場所へなら、どこへでも行く。
この遺跡には隠された部屋があるはずだ。
構造的にも、空洞のある場所がいくつも確認できている。
あとはその壁を壊し、中へ進むだけだ。
どんな試練が待ち構えていようとも、私は先へ進むしかない。
今まで散々家族を犠牲にしてきたが……、
あの伝説の剣を見つければ、私の旅は一時休止だ。

○月×日 天候・雨
火薬を使い、可能性の在る壁を爆破した。結果は見事に外れだ。
雨が降っていたこともあり、火薬が思うように使えない。
今日は疲れている。明日また挑戦するとしよう。

○月×日 天候・晴れ
火薬を使い、やっと隠された空間を発見した。
奥に進むと、何やら石碑のようなものがある。
その前には二本の不自然な柱…。
なにか仕掛けがあるに違いない。
私はその石碑と周辺の探索を行った。二本の柱は妙に短かすぎる。
この遺跡で使われている通常の柱の長さではない。
明らかに、これは意味があるはずだ。
だが、ここで体力も尽きてきた。今日はこの近くで休むとしよう。
伝説の剣を発見する日も近い。
他のハンターたちに見つかる前に……。

○月×日 天候・曇り
早朝、空気を吸うためにいちど外に出た。
長い間、遺跡の中にいるのは息がつまる。
だが、もうすぐ伝説の剣の正体がわかる……。
それを思うとじっとしてはいられない。謎の究明を急がなければ!

○月×日 天候・―
思わぬアクシデントに見舞われた。
落とし穴に嵌まり、下の階へ落下してしまったのだ。
そこは今は亡き冒険者やハンターたちの骨で埋まった、
なんとも不気味な場所だった。
落下するときに足の骨を折ったらしい。
動きたくても動けなくなってしまった……。
装備を調べても治療する術はなく、
これでは誰かに見つけてもらう他はない!
早く誰かがここを通らなければ……、
私は動物の餌になるか、餓死するかだ。
しかし、無情にも両足は動かない。
痛みも増し、意識も遠のいてきた…。
私はこのまま……ここで……?

○月×日 天候・確認できず
まだ誰も通らない。早くこの墓場から出たいものだ。
苦痛と絶望に耐えながら、私はあの謎を考えていた。
不自然な二本の柱に、不可解なメッセージ。
そしてあの奥に、貴重な何かがあることは間違いない。
きっとあの柱は何かを意味しているはずだ。
柱とは別の意味を持つ……何かだ。
くっ、調べようにも動けないとは情けない!
もしあの謎に挑めるならば、私はまず少量の火薬を使ってみようと思う。
何か大切なものを隠す際に、柱の中に埋め込むのはよくあることだ。
誰か……私を見つけてくれっ!!

○月×日 天候・確認できず
……私はもう希望を無くしてしまった。
食料も尽き、衰弱も激しい…。
だが……、あの謎はこの手で解いてみたい……。
いや、誰か別のハンターが…、どうか伝説の剣、「ラバグルド」を……。
ここにあの石碑のメッセージを書き記しておく……。
私が最後まであの謎に挑んだ……、その証として……。

「聖なる二人の乙女よ
 汝らへ清き心を持つ者が祈るとき、
 炎の神は新たな口を開く」
「まるで清き者を試すかのように、
 荒々しい炎は渦巻き、行く手を塞ぐであろう。
 しかし、最後にその身を潜めし伝説の秘宝は、
 神の手を離れればその力を失うであろう」
「秘宝に触れてはならない。
 あの力を呼び覚ますのは、もう一つの炎……
『人類』が授かった、禁断の炎……」

※あとは白紙だ